CircuitPythonとは?
CircuitPythonは、Adafruitが開発した初心者向けのオープンソースプログラミング言語で、マイクロコントローラー上で動作します。Pythonをベースとしているため、電子工作やハードウェアの操作に必要なスキルを、非常にシンプルに学べる環境を提供しています。
もともと、MicroPythonというプロジェクトが先行しており、これは小型のマイクロコントローラー向けに最適化されたPythonの実装です。CircuitPythonは、このMicroPythonをベースにしていますが、Adafruitのデバイスに特化しており、さらに初心者向けの使いやすさが強化されています。

「電子工作に興味があるけれど、どこから始めればいいかわからない…」そんな方におすすめなのが、CircuitPythonです。Pythonベースのプログラミング環境で、初心者でも簡単にマイクロコントローラーを使ったプロジェクトを始められます。LEDの点灯やセンサーの読み取りなど、基本的な操作から丁寧に解説していますので、ぜひ一度試してみてください!
MicroPythonとの違い
CircuitPythonとMicroPythonは似ている部分が多いですが、いくつかの違いがあります。たとえば、CircuitPythonはユーザーフレンドリーなREPL(Read-Eval-Print Loop)環境と、USBマスストレージ機能を備えており、パソコンに接続するとマイクロコントローラーがUSBドライブとして認識され、コードの書き換えが容易です。また、初心者向けのサポートやドキュメントが豊富な点も特徴です。
一方、MicroPythonは、より多くのハードウェアやデバイスに対応しており、エキスパート向けの高度な機能が充実しています。
対応するマイクロコントローラー
CircuitPythonは、Adafruitの製品に最適化されていますが、他にも広く普及しているいくつかのマイクロコントローラーに対応しています。代表的な例として、以下のようなチップがあります:
- Adafruit Metro M0/M4
- Adafruit Feather M0/M4
- Raspberry Pi Pico
- Espressif ESP32-S2
これらのボードは、一般的なマイクロコントローラーボードに比べて、CircuitPythonの動作に最適化されています。
プロジェクトにおける利点
CircuitPythonの利点は、多くの初心者や教育者にとって非常に魅力的です。特に、以下の点が際立っています。
- シンプルなコード記述:Pythonのシンプルな文法により、ハードウェアの制御を簡単に実装できます。
- ファイルシステムのサポート:PCに接続するとマイクロコントローラーがUSBドライブとして認識され、ファイルをドラッグ&ドロップで変更できるため、コードの書き換えや更新が簡単です。
- 強力なコミュニティとサポート:Adafruitの提供する豊富なドキュメントやライブラリ、そしてアクティブなフォーラムによって、初心者でも簡単に学習を進めることができます。
CircuitPythonの主な特徴

CircuitPythonは、マイクロコントローラー上でのプログラミングをシンプルかつ効率的に行えるように設計されています。以下に、その主な特徴を紹介します。
Pythonベースでのプログラミング
CircuitPythonは、世界中で広く使われているプログラミング言語「Python」をベースにしています。Pythonは読みやすく、直感的な構文が特徴で、複雑なプログラムを書く際にもシンプルなコードで表現できるため、初心者でも扱いやすい言語です。例えば、以下のようなコードでLEDを点灯させることができます。
import board
import digitalio
import time
led = digitalio.DigitalInOut(board.D13)
led.direction = digitalio.Direction.OUTPUT
while True:
led.value = True # LEDをオン
time.sleep(1) # 1秒間待つ
led.value = False # LEDをオフ
time.sleep(1) # 1秒間待つこのシンプルなコードで、LEDを1秒ごとにオン・オフさせることができます。
即時実行(REPL)とファイルシステムへのアクセス
CircuitPythonの大きな利点の一つが「REPL」(Read-Eval-Print Loop)機能です。REPLは、コマンドラインでリアルタイムにコードを入力し、その結果を即座に確認することができる環境です。これはプログラムの動作をすぐにテストしたい時に非常に便利です。
また、マイクロコントローラーをPCに接続すると、USBマスストレージとして認識され、プログラムコードをドラッグ&ドロップで簡単に編集できます。これにより、専用のIDEや複雑なツールが不要で、テキストエディタさえあれば簡単に開発が可能です。
ライブラリの豊富さ
CircuitPythonには、多数のライブラリが用意されており、これによりセンサーやディスプレイ、モーターなど、さまざまなハードウェアを簡単に制御できます。Adafruitが提供するライブラリコレクションには、次のようなライブラリがあります。
- Adafruit CircuitPython NeoPixel: LEDストリップを簡単に制御できる。
- Adafruit CircuitPython MotorKit: モーターやサーボの制御をサポート。
- Adafruit CircuitPython Requests: インターネット経由でデータを取得したり送信するためのHTTPクライアント。
これらのライブラリを使うことで、複雑なハードウェア制御も短いコードで実装できます。
簡単なデバッグとエラー処理
CircuitPythonでは、Pythonの標準的なエラーメッセージが利用できるため、プログラム内のバグやエラーを容易に特定できます。さらに、マイクロコントローラーに直接エラーが表示されるため、コードのどこに問題があるかをすぐに把握できます。エラーメッセージは通常、REPLやシリアルモニターに表示されるため、即座に問題を解決できます。
CircuitPythonの活用例
CircuitPythonは、教育現場やプロトタイプ開発において、初心者からエンジニアまで幅広い層に利用されています。以下に、具体的な活用例をいくつか紹介します。
LED制御
CircuitPythonを使った最もシンプルなプロジェクトの一つが、LEDの制御です。例えば、先に紹介したコードのように、LEDを点灯・消灯させたり、特定のパターンで点滅させることができます。さらに、RGB LEDやNeoPixelと呼ばれる複数のカラーLEDを制御することで、カラフルな光のパターンを作り出すことも可能です。
たとえば、NeoPixelのLEDストリップを使用して、特定の色を循環させるコードは以下のようになります。
import board
import neopixel
import time
pixels = neopixel.NeoPixel(board.NEOPIXEL, 10) # NeoPixelに接続されているLEDが10個
while True:
pixels.fill((255, 0, 0)) # 全てのLEDを赤に
time.sleep(1)
pixels.fill((0, 255, 0)) # 全てのLEDを緑に
time.sleep(1)
pixels.fill((0, 0, 255)) # 全てのLEDを青に
time.sleep(1)このようなコードで、赤・緑・青と色が順に変化するLEDアニメーションを作成できます。
センサーの読み取り
CircuitPythonは、さまざまなセンサーからのデータを簡単に取得し、活用することができます。温度、湿度、加速度などのセンサーを接続し、そのデータをリアルタイムで表示することが可能です。
以下のコードは、温度センサーからデータを読み取る例です。
import board
import analogio
import time
temp_sensor = analogio.AnalogIn(board.A1) # A1ピンに接続された温度センサー
def get_voltage(pin):
return (pin.value * 3.3) / 65536 # センサーのアナログ値を電圧に変換
while True:
voltage = get_voltage(temp_sensor)
print("Temperature Voltage:", voltage)
time.sleep(1)このように、温度センサーからのアナログ信号を取得し、電圧として出力します。このデータは、他のセンサーと組み合わせて、より高度なプロジェクト(たとえば、環境モニタリングシステムなど)に応用できます。
IoT(インターネット・オブ・シングス)プロジェクト
CircuitPythonは、Wi-FiやBluetoothを搭載したマイクロコントローラーボードにも対応しているため、IoTプロジェクトを簡単に構築できます。たとえば、温度や湿度センサーからのデータをWi-Fi経由でクラウドに送信し、遠隔地でモニタリングできるシステムを作成することも可能です。
次のコードは、Wi-Fi経由でセンサーのデータを送信する簡単な例です。
import adafruit_requests as requests
import wifi
import socketpool
wifi.radio.connect("SSID", "password") # Wi-Fiに接続
pool = socketpool.SocketPool(wifi.radio)
requests = requests.Session(pool)
response = requests.get("http://example.com/data")
print("Response:", response.text)これにより、Webサーバーからデータを取得し、その内容を表示することができます。センサーのデータを定期的にクラウドに送信することで、IoTシステムの一部として活用できます。
プロトタイピングのスピードアップ
CircuitPythonは、アイデアを迅速に形にするプロトタイピングに最適です。ハードウェアの制御がシンプルなコードで実現できるため、複雑な回路や長いコードを必要とせず、すぐにプロトタイプを試作できます。LEDやモーター、センサーなどを組み合わせて、短期間で機能するデバイスを作成できるため、開発スピードが大幅に向上します。
CircuitPythonの始め方

CircuitPythonを使い始めるためには、必要なハードウェアの準備とソフトウェアの設定が必要です。この章では、CircuitPythonをインストールし、簡単なプログラムを実行する手順について説明します。
必要なもの
CircuitPythonを始めるために、以下のものを用意します。
- CircuitPython対応のマイクロコントローラーボード(例: Adafruit Feather M4, Metro M0, Raspberry Pi Picoなど)
- USBケーブル(データ通信対応のもの)
- PC(Windows, macOS, Linuxのいずれか)
- テキストエディタ(Visual Studio Code、Atom、または標準のテキストエディタでも可能)
マイクロコントローラーはAdafruitの公式サイトで購入でき、USBケーブルを使ってPCに接続します。
CircuitPythonのインストール手順
CircuitPythonをマイクロコントローラーにインストールするのは非常に簡単です。以下の手順に従ってインストールします。
- ファームウェアのダウンロード
まず、CircuitPythonの公式サイトにアクセスし、自分のボードに対応したファームウェアをダウンロードします。例えば、「Adafruit Feather M4」用のファームウェアを選択します。 - マイクロコントローラーをブートローダーモードにする
マイクロコントローラーの「RESET」ボタンを2回押すと、ボードは「BOOTLOADER」モードに入り、PCに接続された状態で新しいドライブ(例: FEATHERBOOT)として表示されます。 - ファームウェアのコピー
ダウンロードしたファームウェア(.uf2ファイル)を、その新しいドライブにドラッグ&ドロップします。これにより、ファームウェアが自動的にインストールされ、ボードは再起動されます。再起動後、マイクロコントローラーはCIRCUITPYという新しいドライブとして表示されます。
簡単なプログラム例:LEDを点滅させる
インストールが完了したら、早速プログラムを書いて実行してみましょう。以下は、LEDを1秒間隔で点滅させる簡単な例です。
- コードを書いて保存する
CIRCUITPYドライブに「code.py」というファイルを作成し、以下のコードをテキストエディタに入力して保存します。
import board
import digitalio
import time
led = digitalio.DigitalInOut(board.D13) # D13ピンに接続された内蔵LED
led.direction = digitalio.Direction.OUTPUT
while True:
led.value = True # LEDを点灯
time.sleep(1) # 1秒待機
led.value = False # LEDを消灯
time.sleep(1) # 1秒待機- 実行
このファイルが保存されると、自動的にマイクロコントローラーがコードを読み込み、実行します。LEDが1秒ごとに点滅し始めれば成功です。
CircuitPython用ライブラリの導入
より複雑なプロジェクトを構築するためには、追加のライブラリを導入する必要がある場合があります。CircuitPythonは豊富なライブラリコレクションを提供しており、AdafruitのGitHubリポジトリから直接ライブラリをダウンロードできます。
- ライブラリのダウンロード
AdafruitのCircuitPythonライブラリコレクションは、このページからダウンロードできます。 - 必要なライブラリを
libフォルダにコピー
ダウンロードしたZIPファイルを解凍し、必要なライブラリ(たとえば、adafruit_neopixel.mpyなど)をCIRCUITPYドライブのlibフォルダにコピーします。これで、特定のハードウェアやセンサーを使ったプロジェクトが構築できるようになります。
CircuitPythonを使用する上でのヒントとトラブルシューティング
CircuitPythonを使用していると、プログラミングやハードウェアに関連した問題に直面することがあります。この章では、よくある問題の解決方法や、開発を効率化するためのヒントを紹介します。
よくある問題とその解決方法
USB接続が認識されない
CircuitPython対応のボードをPCに接続した際、USB接続が認識されないことがあります。こうした場合、以下の対処法を試してください。
- ケーブルを確認する:データ転送が可能なUSBケーブルを使用していることを確認します。一部のUSBケーブルは充電専用で、データ通信ができません。
- ボードのリセット:マイクロコントローラーのリセットボタンを2回押して、ブートローダーモードに入るか確認します。これにより、再度USBドライブとして認識されることがあります。
ファイルシステムが破損した
CIRCUITPYドライブが「読み取り専用」と表示され、ファイルの書き込みができなくなることがあります。これは、ファイルシステムが破損している可能性があります。
- ファイルシステムの修復:この場合、ドライブをPCで「安全な取り外し」を行ってから再接続するか、ファイルシステムをリセットする必要があります。Adafruitの公式ガイドには、CircuitPythonのファイルシステムをリセットするための具体的な手順が記載されています。
プログラムが動作しない
プログラムが動作しない場合は、いくつかの点をチェックする必要があります。
- エラーメッセージの確認:REPLやシリアルモニタを開いてエラーメッセージを確認しましょう。シンタックスエラーやタイプミスなど、Pythonの標準エラーメッセージが表示され、問題の原因を特定する手助けとなります。
- コードの基本的な見直し:コード内でのピン指定が正しいか、モジュールが正しくインポートされているかを確認します。また、ライブラリが最新バージョンかどうかもチェックしましょう。
効率的な開発のためのツール
シリアルモニタの使用
シリアルモニタを使うことで、マイクロコントローラーのデバッグが容易になります。REPLに接続して、リアルタイムでコードをテストしたり、変数の値を確認したりすることができます。
- Muエディタ
Muは、CircuitPythonの開発に特化した軽量なテキストエディタで、シリアルモニタを内蔵しています。Muを使用することで、簡単にコードの編集や実行ができ、REPLにすぐアクセスできるため、初心者におすすめのツールです。
ライブラリマネージャーの活用
CircuitPythonでは多くのライブラリが使われますが、プロジェクトごとに手動でライブラリを管理するのは大変です。circupというコマンドラインツールを使うと、ライブラリの管理が簡単になります。
- circupの使用方法
circupは、CircuitPythonライブラリを自動的にインストール・更新してくれるツールです。以下のコマンドで、インストールとライブラリの更新が可能です。
pip install circup
circup updateコミュニティリソースの活用
CircuitPythonには非常に活発なコミュニティがあり、初心者からエキスパートまで、質問やプロジェクトの共有が盛んです。何か困ったことがあったり、新しいアイデアを試したい場合は、コミュニティの力を借りるのが有効です。
- Adafruitフォーラム:Adafruitのフォーラムでは、技術的な質問やハードウェアの問題に対して、経験豊富なメンバーがサポートしてくれます。
- Discordコミュニティ:AdafruitのDiscordサーバーには、リアルタイムで質問できるチャンネルがあり、特にCircuitPython関連の質問にすぐに対応してもらえます。
- プロジェクトガイド:Adafruitのサイトには、CircuitPythonを使ったさまざまなプロジェクトが紹介されており、学習の参考にできます。

ここまで読んでいただきありがとうございます!
UdemyのPythonコースにはオンラインで学習ができる動画コンテンツがたくさんあります。
当ブログのような文章メインの説明では足りない箇所を補えると思うので、もっと詳しく勉強したいという方はぜひチェックしてみてください!


コメント