はじめに

工場の自動化やPLCに興味があるけど、どうやって始めたらいいかわからない…そんな方に、Pythonと三菱PLCを使ったPyMCProtocolのチュートリアルをご紹介!初心者でもわかりやすく、基本からしっかり解説しています。工場の自動化や機械制御に興味がある方は、ぜひ気軽にチェックしてみてくださいね!
Pythonで三菱PLCと通信する方法とは?
三菱PLC(プログラマブルロジックコントローラ) は、工場の自動化(FA:Factory Automation)に欠かせない制御装置です。
通常、PLCとの通信には専用のソフトウェアや特定のプロトコルが必要ですが、Pythonと「PyMCProtocol」ライブラリを活用することで、手軽にPLCと通信できます。
本記事では、Pythonを用いて三菱PLCと通信する方法を、初心者でも分かりやすく解説します。
これにより、PythonからPLCのデータを読み取ったり、書き込んだりすることが可能になります。
なぜPythonでPLCと通信するのか?
PLCのプログラミングには、三菱電機の「GX Works2」や「GX Developer」などの専用ツールが一般的に使われます。
しかし、以下のような理由から、Pythonを活用したPLC制御が注目されています。
✅ 柔軟なデータ処理が可能:Pythonを使えば、取得したデータをリアルタイムで処理・分析できる
✅ IoTとの連携が容易:クラウドサービスやデータベースと接続しやすい
✅ 自動化が簡単:繰り返しのデータ取得や、条件に応じた制御がスクリプトで実装可能
特に、データロギングやリモート監視を行う際にPythonの活用は非常に有効です。
主な機能と用途
- PLCとの通信
PyMCProtocolを使用すると、Pythonコードから直接三菱PLCにアクセスし、データの読み取りや書き込みができます。 - リアルタイムデータの取得
生産ラインや設備からリアルタイムでデータを取得し、モニタリングや分析を行うことが可能です。 - 自動化システムとの統合
他のPythonベースのシステム(例えば、データベースやIoTプラットフォーム)と連携し、より高度な自動化システムを構築する際に役立ちます。
PyMCProtocolを使うことで、従来の専用ツールでは実現しにくかった柔軟なデータ操作やカスタム制御が可能になります。特に、Pythonの豊富なライブラリと組み合わせることで、データ解析や機械学習モデルの適用など、高度な産業用アプリケーションを開発することができます。
PyMCProtocolとは?
PyMCProtocolの概要
PyMCProtocol は、Pythonを使って 三菱PLC(MELSECシリーズ)とMCプロトコル(Mitsubishi Communication Protocol)で通信するためのライブラリ です。
このライブラリを利用することで、PythonスクリプトからPLCのレジスタデータを簡単に読み書き することが可能になります。
通常、三菱PLCと通信するには、メーカー提供の GX Works2 や MX Component などの専用ソフトウェアが必要ですが、PyMCProtocolを活用すると、Pythonだけで手軽にPLCとデータのやり取り を行うことができます。
PyMCProtocolの主な機能
PyMCProtocolを使用すると、以下のような操作が可能になります。
✅ PLCのデバイスデータを読み取る(レジスタ値の取得)
✅ PLCのデバイスデータを書き込む(レジスタ値の変更)
✅ 複数データの一括読み取り・書き込み
✅ Ethernet(TCP/IP)やシリアル通信(RS-232C)を利用したPLCとの接続
例えば、以下のPythonコードで 三菱PLCのDレジスタ(データレジスタ)の値を取得 できます。
import pymcprotocol
# PLCに接続(IPアドレスとポート番号を指定)
plc = pymcprotocol.Type3E()
plc.connect("192.168.1.100", 5007)
# D100の値を取得
data = plc.batchread_wordunits(headdevice="D100", readsize=1)
print(f"D100の値: {data}")
# 接続を閉じる
plc.close()✅ わずか数行のコードで、三菱PLCのデータをPythonから取得できる!
PyMCProtocolのメリット
PythonだけでPLCと通信できる
通常、PLCと通信するためには、三菱電機の MX Component や GX Works2 などの専用ツールが必要ですが、PyMCProtocolを使えばPythonのみで通信が可能 になります。
これにより、専用ソフトウェアを使わずに、柔軟なデータ処理や自動化が実現 できます。
シンプルなコードでデータの読み書きが可能
三菱PLCのMCプロトコルを直接扱う場合、通信フレームの構築やデータ解析が必要ですが、PyMCProtocolを使えば、シンプルな関数を呼び出すだけでデータの取得・変更が可能 です。
他のシステムとの連携が容易
Pythonを使うことで、以下のようなシステムとの連携が簡単になります。
| システム | 連携のメリット |
|---|---|
| データベース(MySQL, PostgreSQL) | PLCのデータを蓄積し、履歴管理やレポート作成が可能 |
| クラウドサービス(AWS, Google Cloud) | IoTデバイスとしてPLCのデータをクラウドで管理 |
| 機械学習(TensorFlow, scikit-learn) | 異常検知や予測分析に活用可能 |
例えば、PLCの温度センサーのデータを Pythonを使ってクラウドに送信し、異常検知を行う ことも可能になります。
対応する三菱PLCシリーズ
PyMCProtocolは、以下の三菱PLCシリーズと互換性があります。
| PLCシリーズ | 通信プロトコル | 接続方式 |
|---|---|---|
| MELSEC iQ-F | MCプロトコル | Ethernet, USB |
| MELSEC iQ-R | MCプロトコル | Ethernet |
| MELSEC Q | MCプロトコル | Ethernet, RS-232C |
| MELSEC L | MCプロトコル | Ethernet |
✅ Ethernet対応のPLCであれば、基本的に通信可能 ですが、PLCの設定によっては接続が制限される場合があるため、事前に通信ポートやプロトコルの設定を確認 することが重要です。
この章では、PyMCProtocolの概要とメリット について解説しました。
✅ Pythonで三菱PLCと通信できる便利なライブラリ
✅ シンプルなコードでデータの読み書きが可能
✅ データベースやクラウドと連携しやすい
✅ MELSEC iQ-F、iQ-R、Q、LシリーズのPLCに対応
Python環境のセットアップ
PyMCProtocolを利用して三菱PLCと通信するためには、Python環境の準備とライブラリのインストールが必要です。
この章では、Pythonのインストール、仮想環境の作成、PyMCProtocolの導入手順を詳しく解説します。
Pythonのインストール
PyMCProtocolは Python 3.x に対応しているため、Python 3.6以上 を使用することを推奨します。
まだPythonがインストールされていない場合は、以下の手順でセットアップしてください。
Pythonのダウンロードとインストール
- Python公式サイト にアクセス
- 最新の安定版(推奨バージョン) をダウンロード
- インストール時に「Add Python to PATH」にチェックを入れる
- インストール完了後、ターミナルまたはコマンドプロンプトで以下のコマンドを実行し、正しくインストールされたことを確認
python --version✅ 以下のように表示されればインストール成功!
Python 3.10.6もし、Pythonのインストール方法がわからないという方は、以下の記事を先に読むとスムーズです。
仮想環境の作成(推奨)
Pythonプロジェクトごとにライブラリを管理するため、仮想環境を作成 するのが推奨されます。
仮想環境を使うことで、システムのPython環境を汚さずに、必要なライブラリだけをインストールできます。
仮想環境の作成と有効化
python -m venv pymc_env有効化するには、OSに応じて以下のコマンドを実行してください。
- Windows
pymc_env\Scripts\activate- Mac/Linux
source pymc_env/bin/activate✅ 仮想環境が有効になると、ターミナルの先頭に (pymc_env) のように表示されます。
仮想環境についても以下の記事で詳しく説明しているので参考にしてください。
PyMCProtocolのインストール
PyMCProtocolをインストールするには、以下のコマンドを実行します。
pip install pymcprotocol✅ インストールが成功すると、以下のように表示されます。
Successfully installed pymcprotocol-1.0.2インストールを確認する
以下のコマンドを実行し、インストールが成功しているか確認しましょう。
import pymcprotocol
print("PyMCProtocolが正常にインストールされました。")✅ エラーが出なければ、PyMCProtocolのセットアップは完了!
その他の便利なライブラリのインストール
PyMCProtocolと組み合わせて使うと便利なライブラリもインストールしておきましょう。
pip install pandas numpy| ライブラリ | 用途 |
|---|---|
pandas | データの処理・時系列データの管理 |
numpy | 数値計算(データ変換や処理) |
✅ これらのライブラリを活用すれば、取得したPLCデータを効率的に処理・分析できる!
この章では、Python環境のセットアップとPyMCProtocolのインストール方法 を解説しました。
✅ Python 3.x をインストールする(推奨:3.6以上)
✅ 仮想環境を作成してライブラリ管理を行う
✅ pip install pymcprotocol でPyMCProtocolを導入
✅ データ処理のために pandas や numpy もインストールすると便利
三菱PLCとPyMCProtocolの接続
PyMCProtocolを使って三菱PLCと通信するには、適切な接続設定 を行う必要があります。
この章では、Ethernet(TCP/IP)を利用したPLCとの接続方法 を詳しく解説します。
三菱PLCとの接続方法
PyMCProtocolは、三菱PLCのMCプロトコルを利用して通信します。
PLCとの通信方法には Ethernet(TCP/IP)とシリアル通信(RS-232C) がありますが、本記事ではEthernet接続を解説 します。
✅ Ethernet接続のメリット
- LAN経由で複数のデバイスと接続可能
- 高速なデータ通信が可能
- 遠隔地からの操作も容易
PLC側の設定を確認する
PLCと通信する前に、以下の項目をPLC側で設定しておく必要があります。
PLCのIPアドレスを確認する
Ethernet通信を行うには、PLCのIPアドレスを確認し、Python側から接続できるようにします。
PLCのIPアドレスを確認するには、GX Works2 などの設定ツールを使用します。
通常、以下のようなデフォルトの設定が多いです。
| 項目 | 設定値(例) |
|---|---|
| IPアドレス | 192.168.1.100 |
| ポート番号 | 5007 |
| プロトコル | MCプロトコル(TCP) |
MCプロトコル通信を有効化する
PLC側で、MCプロトコル(TCP/IP)による通信が許可されているか確認 します。
GX Works2で設定を変更し、PLCが外部デバイスからの通信を受け付けるようにします。
PythonからPLCに接続する
PyMCProtocolを使い、PythonスクリプトでPLCに接続するコード を実装します。
PLCに接続する基本コード
import pymcprotocol
# PLCオブジェクトを作成
plc = pymcprotocol.Type3E()
# PLCに接続(IPアドレスとポート番号を指定)
plc.connect("192.168.1.100", 5007)
# 接続確認
if plc.is_connected():
print("PLCに接続しました!")
else:
print("PLCに接続できません。")
# 接続を閉じる
plc.close()✅ このコードを実行して「PLCに接続しました!」と表示されれば、接続成功!
PLC接続時のエラーと対策
PLCとの接続時に、以下のようなエラーが発生する場合があります。
タイムアウトエラー
エラーメッセージ例:
socket.timeout: timed out✅ 対策:
- PLCのIPアドレスとポート番号が正しいか確認する
- ネットワーク接続をチェックする(PLCとPCが同じネットワークにあるか確認)
コネクションエラー
エラーメッセージ例:
socket.error: [Errno 111] Connection refused✅ 対策:
- PLCのMCプロトコル通信が有効になっているか確認する
- PLCがTCP接続を許可する設定になっているかチェックする
スクリプトがすぐに終了してしまう
✅ 対策:
time.sleep(1)を入れて、一時停止することで接続を安定させるplc.is_connected()を使い、接続状態をチェックする
この章では、三菱PLCとPyMCProtocolを使ってEthernet経由で接続する方法 を解説しました。
✅ PLCのIPアドレスとポート番号を確認し、MCプロトコル通信を有効化する
✅ PythonスクリプトでPLCに接続し、通信が可能か確認する
✅ タイムアウトや接続エラーが発生した場合の対策を学ぶ
基本的なデータ通信の実装
三菱PLCとPythonを接続したら、次は実際にデータを読み書き してみましょう。
この章では、PLCのデバイスレジスタ(Dレジスタ)に対する基本的な読み書きの方法 を解説します。
三菱PLCのデバイスレジスタとは?
PLCの内部には、データを格納する**「デバイスレジスタ」**があります。
代表的なデバイスレジスタの種類は以下のとおりです。
| デバイス | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| Dレジスタ | データ保存用(ワード単位) | D100, D200 |
| M接点 | ON/OFFフラグ(ビット単位) | M100, M200 |
| X入力 | 外部入力(センサーなど) | X0, X1 |
| Y出力 | 外部出力(リレーなど) | Y0, Y1 |
今回は、Dレジスタを対象に、Pythonからデータの読み書きを行う方法 を説明します。
PLCのデータを読み取る(Read)
まず、PLCのDレジスタの値をPythonで取得 してみます。
D100の値を読み取るコード
import pymcprotocol
# PLCに接続
plc = pymcprotocol.Type3E()
plc.connect("192.168.1.100", 5007)
# D100の値を取得
data = plc.batchread_wordunits(headdevice="D100", readsize=1)
print(f"D100の値: {data}")
# 接続を閉じる
plc.close()実行結果の例
D100の値: [1234]✅ D100に格納された値「1234」を取得できた!
✅ readsize=1 は、1ワード(16ビット)分のデータを読み取る設定
PLCにデータを書き込む(Write)
次に、Dレジスタに値を書き込む 方法を紹介します。
D100に5678を書き込むコード
import pymcprotocol
# PLCに接続
plc = pymcprotocol.Type3E()
plc.connect("192.168.1.100", 5007)
# D100に5678を書き込む
plc.batchwrite_wordunits(headdevice="D100", values=[5678])
print("D100に5678を書き込みました!")
# 接続を閉じる
plc.close()実行結果の例
D100に5678を書き込みました!✅ D100に新しい値「5678」をセットできた!
✅ batchwrite_wordunits() を使うことで、複数ワードの書き込みも可能
M接点のON/OFF制御(ビット操作)
M接点は、PLC内部のフラグとして使われるビットデバイス です。
ON(1)/OFF(0)の状態を制御できます。
M100をON(1)にするコード
# M100をONにする
plc.batchwrite_bitunits(headdevice="M100", values=[1])
print("M100をONにしました!")M100をOFF(0)にするコード
# M100をOFFにする
plc.batchwrite_bitunits(headdevice="M100", values=[0])
print("M100をOFFにしました!")✅ ビット操作を使えば、外部機器の制御やフラグ管理が可能!
複数のデータを一括で読み書き
PLCのデータを複数同時に処理したい場合、一括で読み書き できます。
D100〜D104の5ワードを一括で読み取るコード
# D100 から 5ワード分のデータを取得
data = plc.batchread_wordunits(headdevice="D100", readsize=5)
print(f"D100〜D104の値: {data}")D100〜D104にデータを書き込むコード
# D100〜D104にデータを書き込む
values = [100, 200, 300, 400, 500]
plc.batchwrite_wordunits(headdevice="D100", values=values)
print("D100〜D104にデータを書き込みました!")✅ データをまとめて処理することで、通信回数を減らし効率的に制御可能!
エラーハンドリング(通信エラー対策)
PLCと通信する際には、ネットワークの問題や設定ミスでエラーが発生することがあります。
そのため、例外処理(try-except)を活用し、エラー時に適切な対応を取る ことが重要です。
エラーハンドリングを組み込んだ安全なコード
try:
plc = pymcprotocol.Type3E()
plc.connect("192.168.1.100", 5007)
# D100を読み取る
data = plc.batchread_wordunits(headdevice="D100", readsize=1)
print(f"D100の値: {data}")
except Exception as e:
print(f"エラー発生: {e}")
finally:
plc.close()✅ 通信エラーが発生しても、プログラムが停止しないように工夫!
この章では、Pythonを使った三菱PLCのデータ通信の基本 を解説しました。
✅ PLCのDレジスタをPythonで読み書きする方法を習得
✅ M接点(ビット)のON/OFF制御を実装
✅ 複数データの一括読み書きで、通信効率を向上
✅ エラーハンドリングを実装し、安全に通信できるようにする
応用例:複数のデータ読み取りと書き込み
基本的なデータの読み書きができるようになったら、次は複数のデバイスを同時に処理する方法を学びましょう。
この章では、複数のレジスタを一括で処理する方法や、データをリアルタイムで監視する手法を解説します。
複数のデータを一括で読み取る
PLCのデータを1つずつ読み取ると、通信回数が増えて処理が遅くなる 可能性があります。
そこで、複数のデバイスを一括で取得 する方法を活用すると、効率的にデータを扱えます。
D100〜D109の10ワードを一括で取得するコード
import pymcprotocol
# PLCに接続
plc = pymcprotocol.Type3E()
plc.connect("192.168.1.100", 5007)
# D100 から 10ワード分のデータを取得
data = plc.batchread_wordunits(headdevice="D100", readsize=10)
print(f"D100〜D109の値: {data}")
# 接続を閉じる
plc.close()実行結果の例
D100〜D109の値: [100, 200, 300, 400, 500, 600, 700, 800, 900, 1000]✅ 一括取得することで、通信回数を減らし高速化が可能!
複数のデータを一括で書き込む
同様に、複数のデバイスに一括でデータを書き込む こともできます。
例えば、D100〜D104に異なる値を設定 する場合、以下のコードを使います。
D100〜D104にデータを書き込むコード
# D100〜D104にデータを書き込む
values = [150, 250, 350, 450, 550]
plc.batchwrite_wordunits(headdevice="D100", values=values)
print("D100〜D104にデータを書き込みました!")✅ 一括で書き込むことで、個別に処理するよりも効率的にデータを更新可能!
M接点(ビットデバイス)の一括読み取り・書き込み
M接点(ビットデバイス)も、複数のデバイスを一括で処理 できます。
例えば、M100〜M109の状態を取得するには、以下のコードを使います。
M100〜M109の状態を取得するコード
# M100 から 10ビット分のデータを取得
m_status = plc.batchread_bitunits(headdevice="M100", readsize=10)
print(f"M100〜M109の状態: {m_status}")M100〜M104をすべてONにするコード
# M100〜M104をONにする(1にする)
plc.batchwrite_bitunits(headdevice="M100", values=[1, 1, 1, 1, 1])
print("M100〜M104をONにしました!")✅ ビット操作を一括で行うことで、ON/OFFの切り替えを効率化!
リアルタイムでデータを監視する
PLCのデータを定期的に取得し、リアルタイムで監視 することも可能です。
例えば、D100の値を5秒ごとに取得し、変化を検出するコードを作成できます。
D100をリアルタイム監視するコード
import time
# PLCに接続
plc.connect("192.168.1.100", 5007)
last_value = None # 前回の値を記録
while True:
# D100の値を取得
data = plc.batchread_wordunits(headdevice="D100", readsize=1)
if data != last_value:
print(f"D100の値が変化しました: {data}")
last_value = data # 値を更新
time.sleep(5) # 5秒ごとに監視✅ リアルタイムで監視し、データが変化したら通知可能!
CSVファイルにデータを記録する
PLCのデータを CSVファイルに保存することで、履歴を管理 できます。
例えば、D100〜D104のデータを 10秒ごとにCSVに記録する スクリプトを作成できます。
CSVにデータを保存するコード
import csv
import time
# CSVファイルを作成
with open("plc_data.csv", "w", newline="") as f:
writer = csv.writer(f)
writer.writerow(["Time", "D100", "D101", "D102", "D103", "D104"]) # ヘッダーを書き込む
# PLCに接続
plc.connect("192.168.1.100", 5007)
while True:
# 現在時刻を取得
timestamp = time.strftime("%Y-%m-%d %H:%M:%S")
# D100〜D104のデータを取得
data = plc.batchread_wordunits(headdevice="D100", readsize=5)
# CSVファイルに書き込む
with open("plc_data.csv", "a", newline="") as f:
writer = csv.writer(f)
writer.writerow([timestamp] + data)
print(f"データを記録: {timestamp} {data}")
time.sleep(10) # 10秒ごとに記録✅ データを記録することで、異常発生時の分析やトラブルシューティングに活用可能!
この章では、複数のデバイスの読み書きと、データのリアルタイム監視 について解説しました。
✅ 複数のDレジスタやM接点を一括で処理し、通信を効率化
✅ リアルタイムでデータを監視し、値の変化を検出
✅ CSVファイルにデータを記録し、履歴を管理
トラブルシューティングと注意点
PLCとPythonの通信を行う際、設定ミスや通信エラーが発生することがあります。
この章では、よくあるトラブルの原因とその対策 を解説します。
PLCに接続できない
問題の症状
✅ socket.timeout: timed out などのエラーメッセージが表示される
✅ Connection refused(接続拒否)というエラーが出る
考えられる原因と対策
| 原因 | 対策 |
|---|---|
| PLCのIPアドレスが間違っている | 正しいIPアドレスを設定しているか確認(GX Works2などで確認) |
| PLCのポート番号が違う | デフォルトのポート(5007)を確認 し、変更されている場合はPythonのコードを修正 |
| MCプロトコルが無効になっている | GX Works2でMCプロトコル(TCP/IP)の設定を確認し、有効化 |
| ネットワーク設定の問題 | PLCとPCが同じネットワーク上にあるか確認(Pingテストを実施) |
✅ PLCのIPアドレスとポート番号を事前にしっかり確認することが重要!
データの読み取りができない
問題の症状
✅ batchread_wordunits() で None が返ってくる
✅ list index out of range というエラーが発生する
考えられる原因と対策
| 原因 | 対策 |
|---|---|
| 指定したデバイスが存在しない | GX Works2でDレジスタやM接点のアドレスを確認 |
readsize の値が範囲外 | 読み取りサイズが適切な範囲内か確認(readsize=1 など小さい値でテスト) |
| PLCの通信設定が影響している | 通信設定を見直し、他のデバイスが同じアドレスを使用していないか確認 |
✅ まずは readsize=1 でテストし、徐々に範囲を広げるのがポイント!
データの書き込みが反映されない
問題の症状
✅ batchwrite_wordunits() や batchwrite_bitunits() を実行しても、PLCの値が変わらない
考えられる原因と対策
| 原因 | 対策 |
|---|---|
| 書き込み可能なデバイスではない | DレジスタやM接点に書き込み可能か確認 |
| データ型の問題 | 書き込む値がリスト形式になっているか確認(例:[100]) |
| 通信エラーが発生している | エラーハンドリングを実装し、例外をキャッチする |
✅ 書き込み時は、values=[数値] のリスト形式で渡すのが重要!
通信が途中で途切れる(タイムアウト)
問題の症状
✅ 長時間動作させると、PLCとの接続が途切れる
✅ socket.timeout や Broken pipe というエラーが発生する
考えられる原因と対策
| 原因 | 対策 |
|---|---|
| 接続時間が長すぎる | 定期的に plc.close() を実行し、再接続する処理を入れる |
| PLC側の接続制限 | GX Works2でタイムアウト設定を確認し、時間を延長する |
| ネットワークの不安定さ | 有線LANを利用し、安定した通信環境を確保する |
接続を自動で再試行するコード(タイムアウト対策)
import time
while True:
try:
plc = pymcprotocol.Type3E()
plc.connect("192.168.1.100", 5007)
data = plc.batchread_wordunits(headdevice="D100", readsize=1)
print(f"D100の値: {data}")
except Exception as e:
print(f"エラー発生: {e}")
print("5秒後に再試行します...")
time.sleep(5) # 5秒待機して再接続
finally:
plc.close()✅ エラーが発生したら一定時間待って再試行することで、接続の安定性を向上!
Pythonスクリプトの実行が遅い
問題の症状
✅ データの取得や書き込みに時間がかかる
✅ 1回のデータ読み取りで数秒待たされる
考えられる原因と対策
| 原因 | 対策 |
|---|---|
| デバイスを1つずつ処理している | 複数のデバイスを一括で読み書きする(batchread_wordunits() を活用) |
| ネットワークの遅延 | 有線LANを利用し、通信環境を改善する |
| 通信頻度が高すぎる | 適度な time.sleep() を入れ、不要な通信を抑える |
データの取得を高速化する方法
# 10個のデータを一括で取得(D100〜D109)
data = plc.batchread_wordunits(headdevice="D100", readsize=10)
print(f"D100〜D109の値: {data}")✅ 一括で取得することで、通信回数を減らし高速化!
この章では、PLCとPythonの通信時に発生しやすいトラブルとその解決策 を解説しました。
✅ PLCに接続できない場合は、IPアドレス・ポート・MCプロトコルの設定を確認
✅ データの読み書きができない場合は、デバイスの存在・データ型をチェック
✅ 長時間の通信が途切れる場合は、plc.close() や再接続処理を実装
✅ 通信速度を改善するには、一括データ処理(batchread_wordunits())を活用
まとめ
本記事では、Pythonを使って三菱PLCと通信する方法 を詳しく解説しました。
PyMCProtocolを活用することで、専用のソフトウェアを使わずにPythonスクリプトだけでPLCとデータのやり取りが可能 になります。
この記事のポイント
PyMCProtocolを使うメリット
✅ Pythonで三菱PLCと直接通信できる(MCプロトコルをサポート)
✅ シンプルなコードでデータの読み書きが可能
✅ データベースやクラウドと連携しやすく、IoT用途にも最適
Python環境のセットアップ
✅ Python 3.x をインストール(推奨:3.6以上)
✅ pip install pymcprotocol でPyMCProtocolを導入
✅ 仮想環境を活用し、ライブラリを安全に管理
三菱PLCとの接続
✅ PLCのIPアドレスとポート番号を設定し、通信を確立
✅ MCプロトコル(TCP/IP)を有効化する必要がある
✅ 接続テストを行い、正しく通信できるか確認
基本的なデータ通信の実装
✅ Dレジスタの値をPythonで読み取る(batchread_wordunits())
✅ Dレジスタの値を書き込む(batchwrite_wordunits())
✅ M接点(ビットデバイス)のON/OFF制御が可能
応用例:複数のデータを効率的に処理
✅ 複数のレジスタを一括で読み取る・書き込む(通信効率アップ)
✅ リアルタイムでデータを監視し、変化を検出
✅ CSVファイルにデータを記録し、履歴を管理
トラブルシューティングと注意点
✅ 接続エラーの対処法(IPアドレス・ポート設定・ネットワーク確認)
✅ データの読み書きができない場合の原因と解決策
✅ 長時間の通信が途切れる場合は、再接続処理を実装
✅ 通信速度を改善するには、一括データ処理(batchread_wordunits())を活用
次のステップ
本記事を参考に、以下のステップに進むことで、より高度なPLCシステムを構築できます。
🔹 トレンド分析と可視化
matplotlibを活用し、PLCのデータをグラフで可視化pandasを使い、データを整理・分析
🔹 クラウド連携(IoT化)
- PLCデータを AWSやGoogle Cloudに送信し、リアルタイム監視
- MQTTプロトコルを使ったクラウド通信
🔹 自動制御システムの構築
- センサー情報をPythonで処理し、PLCの制御ロジックを最適化
- AI(機械学習)を活用し、異常検知や最適制御を実装
最後に
PythonとPyMCProtocolを活用すれば、三菱PLCとシンプルかつ柔軟に通信できる環境を構築 できます。
PLCのデータをリアルタイムで取得し、分析・制御を行うことで、より高度な自動化システムの開発が可能 になります。
本記事の内容を活用し、PythonとPLCを組み合わせた効率的なシステム開発に挑戦してみましょう!

ここまで読んでいただきありがとうございます!
UdemyのPythonコースにはオンラインで学習ができる動画コンテンツがたくさんあります。
当ブログのような文章メインの説明では足りない箇所を補えると思うので、もっと詳しく勉強したいという方はぜひチェックしてみてください!



コメント
はじめまして。
pymcprotocolの作者です。
この度は素晴らしい記事を作成いて頂きありがとうございます。
これからも頑張ってください!
senrust様
ありがとうございます。
作成者の方からコメントをいただけると励みになります。
今後とも役に立つ記事を意識して技術ブログを作成していきたいと思っております。
何卒よろしくお願いいたします。