はじめに
Pythonは、多くの分野で利用されている汎用的なプログラミング言語ですが、GUI(グラフィカルユーザインタフェース)アプリケーションの開発においても優れたライブラリが提供されています。GUIは、ユーザーがソフトウェアと直感的に操作できるようにするための重要な要素であり、視覚的なインターフェースを構築するために使用されます。
従来、PythonでのGUI開発には「Tkinter」や「PyQt」などのライブラリが多く使われてきましたが、近年登場した「Dear PyGui」は、これらとは一線を画す特徴を持っています。Dear PyGuiは、C++で書かれた強力な「Dear ImGui」ライブラリをPythonに移植したもので、高速でモダンなGUIアプリケーションを手軽に作成できるのが特徴です。
Dear PyGuiの主な利点は、リアルタイムのインタラクティブアプリケーションに対応している点です。これにより、例えばゲームやシミュレーション、データビジュアライゼーションのような、描画速度が重視されるアプリケーションの開発に適しています。また、シンプルで直感的なAPIにより、初心者でも扱いやすい設計となっています。
次に、Dear PyGuiが他のPython GUIライブラリとどのように異なるのか、特徴について詳しく見ていきましょう。

自分でアプリのインターフェースを作ってみたい!そんな方には、PythonとDearPyGUIを使ったGUI開発がオススメです。このガイドでは、初心者でも簡単に取り組めるように、基礎から丁寧に解説しています。ぜひ気軽にチェックして、オリジナルのGUI作りに挑戦してみてくださいね!
Dear PyGuiの特徴
Dear PyGuiは、PythonのGUIライブラリの中でも特にパフォーマンスと使いやすさに優れたツールです。他のGUIライブラリとの大きな違いは、描画の高速性や直感的なAPI、豊富なサードパーティライブラリとの統合性などが挙げられます。ここでは、Dear PyGuiの特徴について詳しく見ていきましょう。
高速描画性能
Dear PyGuiの最大の利点は、その高速な描画能力です。内部的には、DirectXやMetal、OpenGLなどの低レベルグラフィックスAPIを利用しており、リアルタイムのインターフェースや複雑なグラフィックス処理に対して優れたパフォーマンスを発揮します。これにより、従来のPython GUIライブラリでは難しかった、動的なビジュアライゼーションやゲームのUIなど、高パフォーマンスを要求されるアプリケーションに適しています。
例えば、大量のデータをリアルタイムで描画する際にも、動作が滑らかで、システムへの負荷を最小限に抑えながら処理できるのが特徴です。描画のスピードを重視するプロジェクトにおいて、Dear PyGuiは非常に有効な選択肢となるでしょう。
直感的なAPIデザイン
Dear PyGuiは、シンプルで直感的なAPIを提供しており、初めてGUI開発を行うPythonユーザーでも容易に扱えます。ウィジェット(ボタンやテキストボックスなど)の追加やレイアウトの設定は、わずかなコード行数で実現でき、視覚的なインターフェースを素早く構築可能です。
例えば、ボタンを作成し、そのボタンが押されたときのイベント処理を設定する場合、数行のコードで完結します。これは、従来のGUIライブラリと比較して、コードの冗長さを大幅に削減し、開発効率を高める要因となっています。
クロスプラットフォーム対応
Dear PyGuiは、Windows、macOS、Linuxの主要なデスクトップOSに対応しています。このクロスプラットフォーム性により、開発者は一度作成したアプリケーションを、異なる環境でもそのまま動作させることができます。特に、複数のOSで同じアプリケーションを提供する必要がある場合、Dear PyGuiは開発時間を大幅に短縮できるメリットがあります。
また、各プラットフォームで同じUIデザインとパフォーマンスを保証するため、使い勝手や動作速度が一貫しているのも魅力の一つです。
サードパーティライブラリとの統合
Dear PyGuiは、Pythonの他のライブラリと非常に親和性が高く、NumPyやPandas、Matplotlibといったデータ処理やビジュアライゼーションのライブラリと組み合わせて使用することが容易です。これにより、インタラクティブなデータ解析ツールや、リアルタイムで更新されるグラフを描画するアプリケーションを手軽に作成することができます。
例えば、リアルタイムで変動するデータをモニタリングし、その結果をMatplotlibで描画したグラフに反映させるようなアプリケーションを、少ないコードで実現できるため、ビジネスアプリケーションや研究用途でも活躍するでしょう。
Dear PyGuiのインストール方法

Dear PyGuiを利用するためには、Python環境にインストールする必要があります。幸い、Dear PyGuiはPythonパッケージインデックス(PyPI)に登録されているため、コマンド一つで簡単にインストールすることができます。この章では、Dear PyGuiのインストール手順と、環境設定について説明します。
必要な環境
Dear PyGuiは、以下の環境をサポートしています。
- Python 3.7以降(推奨:最新の安定版)
- Windows, macOS, Linux の主要デスクトップOS
また、リアルタイム描画やグラフィック性能が重要なアプリケーションの場合は、GPUの性能が描画速度に影響することがあるため、必要に応じてGPUドライバの更新も確認しておくとよいでしょう。
インストール手順
Dear PyGuiのインストールは、Pythonのパッケージ管理ツール「pip」を使って行います。ターミナル(コマンドプロンプト)を開いて、以下のコマンドを実行するだけです。
pip install dearpyguiこのコマンドにより、Dear PyGuiの最新バージョンが自動的にインストールされます。インストールが完了すると、Pythonコード内でDear PyGuiをインポートして使うことができるようになります。
インストール確認
インストールが正しく行われたかどうかを確認するため、Pythonのインタラクティブシェル(もしくは任意のPythonスクリプト)で次のように入力します。
import dearpygui.dearpygui as dpg
dpg.create_context()
dpg.create_viewport(title='確認ウィンドウ', width=600, height=400)
dpg.setup_dearpygui()
dpg.show_viewport()
dpg.start_dearpygui()
dpg.destroy_context()このコードを実行すると、”確認ウィンドウ” というタイトルのウィンドウが表示されます。ウィンドウが正常に表示されれば、Dear PyGuiのインストールは成功です。
環境設定の注意点
Dear PyGuiは、他のライブラリやフレームワークと共存して使用することができますが、特に複雑なリアルタイムアプリケーションを開発する場合は、Pythonの仮想環境を使って依存関係を管理することをお勧めします。仮想環境を使うことで、異なるプロジェクト間でパッケージのバージョンが競合することを避けることができます。
仮想環境を作成するには、以下のコマンドを使います。
python -m venv myenv
source myenv/bin/activate # Linux/macOSの場合
myenv\Scripts\activate # Windowsの場合仮想環境を有効にした後、Dear PyGuiをインストールすれば、プロジェクトごとに独立した環境で作業できます。
基本的な使い方
Dear PyGuiをインストールした後、基本的なウィジェットやイベントハンドリングを使ってシンプルなアプリケーションを作成することができます。この章では、基本的なウィンドウの作成方法から、各種ウィジェットの配置方法、そしてイベント処理の実装方法について説明します。
シンプルなウィンドウの作成
まずは、最も基本的なウィンドウを作成し、それを表示するコードを見てみましょう。Dear PyGuiの操作は、基本的にウィンドウを作成し、ウィジェットを追加し、イベントループを開始するという流れで進みます。
以下のコードは、空のウィンドウを表示する最小限の例です。
import dearpygui.dearpygui as dpg
# Dear PyGuiの初期化
dpg.create_context()
# ウィンドウを作成
dpg.create_viewport(title='基本ウィンドウ', width=600, height=400)
# Dear PyGuiのセットアップとウィンドウ表示
dpg.setup_dearpygui()
dpg.show_viewport()
# イベントループを開始
dpg.start_dearpygui()
# クリーンアップ
dpg.destroy_context()上記のコードでは、”基本ウィンドウ” というタイトルの600×400ピクセルのウィンドウが作成され、表示されます。dpg.create_context()でDear PyGuiの内部コンテキストを作成し、dpg.start_dearpygui()でイベントループが開始されます。これにより、ユーザーがウィンドウを操作できるようになります。
ウィジェットの追加
次に、ウィンドウ内にボタンやテキストフィールドなどのウィジェットを追加する方法を紹介します。Dear PyGuiでは、ウィジェットは非常に簡単に追加でき、レイアウトも柔軟に設定できます。
例えば、ウィンドウにボタンとテキストボックスを配置する場合は、以下のようにします。
import dearpygui.dearpygui as dpg
dpg.create_context()
# ウィンドウの作成
with dpg.window(label="サンプルウィンドウ", width=600, height=400):
dpg.add_text("Hello, Dear PyGui!") # テキスト表示
dpg.add_input_text(label="テキスト入力") # テキストボックス
dpg.add_button(label="クリック") # ボタン
dpg.create_viewport(title='ウィジェットの追加例', width=600, height=400)
dpg.setup_dearpygui()
dpg.show_viewport()
dpg.start_dearpygui()
dpg.destroy_context()このコードでは、以下のウィジェットが表示されます。
- テキスト:
"Hello, Dear PyGui!" - テキスト入力フィールド
- ボタン:
"クリック"
dpg.window()ブロック内にウィジェットを追加することで、ウィンドウ内のレイアウトが自動的に設定されます。
イベントハンドリングの実装
Dear PyGuiでは、ウィジェットにイベントリスナーを設定して、ユーザーの操作に応じた処理を実行できます。例えば、ボタンがクリックされた際に特定の処理を実行する方法を見てみましょう。
import dearpygui.dearpygui as dpg
dpg.create_context()
# コールバック関数の定義
def on_button_click(sender, app_data, user_data):
print("ボタンがクリックされました!")
# ウィンドウの作成
with dpg.window(label="イベントハンドリング例", width=600, height=400):
dpg.add_button(label="クリック", callback=on_button_click) # ボタンにコールバックを設定
dpg.create_viewport(title='イベント処理例', width=600, height=400)
dpg.setup_dearpygui()
dpg.show_viewport()
dpg.start_dearpygui()
dpg.destroy_context()このコードでは、ボタンがクリックされるとon_button_clickという関数が呼び出され、コンソールに「ボタンがクリックされました!」と表示されます。このように、ウィジェットに対してコールバックを設定することで、ユーザーの操作に応じた処理を簡単に実装できます。
ウィジェットのスタイル設定
Dear PyGuiでは、ウィジェットのスタイルやレイアウトを柔軟にカスタマイズすることもできます。例えば、ボタンの色やテキストの大きさを変更したい場合は、次のようにスタイルを設定します。
import dearpygui.dearpygui as dpg
dpg.create_context()
# ウィンドウの作成
with dpg.window(label="スタイル設定例", width=600, height=400):
dpg.add_text("スタイルを変更したテキスト", color=(255, 0, 0)) # 赤色のテキスト
dpg.add_button(label="スタイル変更ボタン", width=200, height=50) # サイズ変更したボタン
dpg.create_viewport(title='スタイル設定例', width=600, height=400)
dpg.setup_dearpygui()
dpg.show_viewport()
dpg.start_dearpygui()
dpg.destroy_context()この例では、赤色のテキストと幅200ピクセル、高さ50ピクセルのボタンが表示されます。Dear PyGuiは、ウィジェットの見た目を簡単にカスタマイズできるので、アプリケーションに合わせたデザインを実装するのも容易です。
応用例: インタラクティブなアプリケーションの作成

Dear PyGuiは、基本的なウィジェット操作だけでなく、リアルタイムデータの可視化やインタラクティブなアプリケーションの開発にも非常に適しています。この章では、応用的な使い方として、リアルタイムで更新されるグラフや複雑なインターフェースを構築する例を紹介します。
リアルタイムで更新されるグラフの描画
データの変化をリアルタイムで可視化するアプリケーションは、多くの分野で活用されています。例えば、センサーデータのモニタリングや、株価の変動を視覚的に表示するアプリケーションなどがあります。Dear PyGuiでは、リアルタイムグラフを描画し、データが更新されるたびに再描画することが簡単に実現できます。
以下の例は、リアルタイムで動的に更新される折れ線グラフを描画するコードです。
import dearpygui.dearpygui as dpg
import random
dpg.create_context()
# グラフ用のデータ
x_data = list(range(100))
y_data = [random.uniform(0, 1) for _ in range(100)]
# コールバック関数:グラフを更新
def update_graph(sender, app_data, user_data):
y_data.pop(0) # 古いデータを削除
y_data.append(random.uniform(0, 1)) # 新しいランダムデータを追加
dpg.set_value("plot_series", [x_data, y_data]) # グラフのデータを更新
# ウィンドウの作成
with dpg.window(label="リアルタイムグラフ"):
with dpg.plot(label="リアルタイムデータ", height=400, width=600):
dpg.add_plot_axis(dpg.mvXAxis, label="X軸")
y_axis = dpg.add_plot_axis(dpg.mvYAxis, label="Y軸")
dpg.add_line_series(x_data, y_data, label="データ", parent=y_axis, id="plot_series")
# タイマーで定期的にグラフを更新
dpg.create_viewport(title='リアルタイムグラフ', width=600, height=400)
dpg.setup_dearpygui()
dpg.show_viewport()
dpg.set_render_callback(update_graph) # 画面を更新するたびにコールバックが呼ばれる
dpg.start_dearpygui()
dpg.destroy_context()このコードでは、X軸が固定されており、Y軸の値がリアルタイムでランダムに更新される折れ線グラフが表示されます。update_graph関数内でデータを更新し、そのデータをdpg.set_value()でグラフに反映させています。さらに、set_render_callbackを使って、描画が更新されるたびにupdate_graph関数が実行されるように設定しています。
マルチスレッド対応アプリケーションの作成
Dear PyGuiを使って、マルチスレッド対応のアプリケーションを作成することも可能です。長時間実行されるタスクをメインスレッドで処理すると、GUIのレスポンスが悪くなることがありますが、マルチスレッドを使えばこの問題を解消できます。
以下は、バックグラウンドで処理を行いながら、メインスレッドでGUIを操作できるようにした例です。
import dearpygui.dearpygui as dpg
import threading
import time
dpg.create_context()
# バックグラウンドで実行される長時間処理
def background_task():
for i in range(10):
print(f"処理中... {i+1}/10")
time.sleep(1)
dpg.set_value("status", "タスク完了!")
# コールバック関数:ボタンが押されたらスレッドを開始
def start_task(sender, app_data, user_data):
dpg.set_value("status", "タスク実行中...")
task_thread = threading.Thread(target=background_task, daemon=True)
task_thread.start()
# ウィンドウの作成
with dpg.window(label="マルチスレッド処理"):
dpg.add_button(label="タスクを開始", callback=start_task)
dpg.add_text("タスクの状態", tag="status")
dpg.create_viewport(title='マルチスレッド処理', width=400, height=200)
dpg.setup_dearpygui()
dpg.show_viewport()
dpg.start_dearpygui()
dpg.destroy_context()この例では、「タスクを開始」ボタンがクリックされると、バックグラウンドで処理が行われます。その間、GUIはスムーズに動作し続け、処理が完了すると「タスク完了!」というメッセージが表示されます。threading.Threadを使ってバックグラウンドタスクを実行し、メインスレッドでGUIの更新を行っています。
複雑なインターフェースの作成
Dear PyGuiでは、単純なウィジェットの組み合わせだけでなく、複雑なレイアウトやインターフェースも簡単に作成できます。例えば、複数のウィンドウや、タブを持つUIを構築する場合、以下のようにウィジェットを組み合わせて使います。
import dearpygui.dearpygui as dpg
dpg.create_context()
# メインウィンドウの作成
with dpg.window(label="メインウィンドウ", width=600, height=400):
dpg.add_text("メインコンテンツ")
with dpg.tab_bar():
with dpg.tab(label="タブ1"):
dpg.add_text("タブ1の内容")
with dpg.tab(label="タブ2"):
dpg.add_text("タブ2の内容")
# 別のポップアップウィンドウの作成
with dpg.window(label="ポップアップウィンドウ", modal=True, show=False, tag="popup"):
dpg.add_text("ポップアップウィンドウの内容")
dpg.add_button(label="閉じる", callback=lambda: dpg.configure_item("popup", show=False))
# ボタンをクリックするとポップアップを表示
def show_popup(sender, app_data, user_data):
dpg.configure_item("popup", show=True)
with dpg.window(label="コントロールパネル", width=300, height=150):
dpg.add_button(label="ポップアップを表示", callback=show_popup)
dpg.create_viewport(title='複雑なUIの例', width=800, height=600)
dpg.setup_dearpygui()
dpg.show_viewport()
dpg.start_dearpygui()
dpg.destroy_context()この例では、タブを持つメインウィンドウと、ボタンを押すと表示されるポップアップウィンドウを持つインターフェースを作成しています。Dear PyGuiのレイアウトシステムを使うことで、複雑なUIでもシンプルなコードで実現できます。
他のGUIライブラリとの比較
Pythonには、Dear PyGui以外にもいくつかの有名なGUIライブラリが存在します。ここでは、Dear PyGuiを他の一般的なGUIライブラリ、特にTkinter、PyQt、Kivyと比較し、それぞれの特徴や強み、用途に応じた選択肢について解説します。
Tkinterとの比較
Tkinterは、Pythonの標準ライブラリとして提供されているGUIツールキットです。歴史が古く、初心者でも扱いやすいことから、学習や小規模なアプリケーション開発に広く使用されています。
パフォーマンス
Tkinterはシンプルなインターフェースの作成には向いていますが、グラフィック性能はそれほど高くありません。リアルタイムで大量のデータを扱うアプリケーションや、複雑なグラフィカルインターフェースを必要とする場合には不向きです。一方、Dear PyGuiは低レベルAPIを活用しており、リアルタイム描画や大量のウィジェットを扱う際にも高速に動作します。
使いやすさ
TkinterはPythonに標準で組み込まれているため、インストールが不要で手軽に使える点が大きな利点です。また、シンプルなウィジェットや基本的なレイアウトを構築するのに適しています。しかし、Tkinterは古いデザインパターンに基づいており、柔軟性に欠ける部分もあります。Dear PyGuiは、モダンなUIを直感的に作成でき、より少ないコード行数で複雑なインターフェースを構築することができます。
PyQtとの比較
PyQtは、PythonのためのクロスプラットフォームなGUIツールキットで、非常に強力かつ機能豊富なライブラリです。企業向けアプリケーションや商用プロジェクトにも多く利用されており、洗練されたGUIを作成する際の強力なツールの一つです。
パフォーマンス
PyQtは、高性能なアプリケーションを開発する際にも十分な性能を発揮しますが、Dear PyGuiの方がリアルタイムでの描画性能に特化しています。特に、リアルタイムで変化するデータを表示するようなアプリケーションでは、Dear PyGuiの方が軽快に動作します。
使いやすさ
PyQtは強力な機能を提供する反面、設定や構築がやや複雑であり、初めて使用する場合は学習コストが高くなりがちです。また、PyQtには商用ライセンスが必要な場合もあるため、プロジェクトによってはコストがかかる可能性があります。Dear PyGuiは軽量かつ無料で利用でき、コーディングのシンプルさとパフォーマンスを両立しています。
Kivyとの比較
Kivyは、特にタッチ操作やマルチタッチをサポートするクロスプラットフォームのGUIライブラリです。モバイルアプリケーション開発に適しており、iOSやAndroid向けのアプリケーションをPythonで作成できるのが特徴です。
パフォーマンス
Kivyも非常に優れたパフォーマンスを持っていますが、特にモバイルデバイス向けに最適化されています。Dear PyGuiは、モバイルアプリケーションよりもデスクトップアプリケーションやリアルタイムデータの可視化に適しています。そのため、どちらのライブラリが適しているかは、開発するアプリケーションの用途によって決まります。
使いやすさ
KivyはGUIライブラリの中では比較的扱いやすい方ですが、モバイルアプリ開発に特化しているため、デスクトップアプリケーションの開発においてはDear PyGuiの方が手軽です。また、Kivyのレイアウトシステムは柔軟ですが、コードの記述量が増える場合があるため、シンプルなプロジェクトではDear PyGuiの方が使いやすいと感じることが多いでしょう。
選択のポイント
どのGUIライブラリを選ぶべきかは、プロジェクトの要求や目的によって異なります。
- Tkinter: 簡単なデスクトップアプリケーションを手軽に作りたい場合に最適。
- PyQt: 高度な機能を持つ企業向けのアプリケーションや、洗練されたデスクトップアプリケーションを作成する場合に有効。
- Kivy: モバイルアプリケーションやタッチ対応のUIを作成する際に最適。
- Dear PyGui: 高パフォーマンスなリアルタイムアプリケーションや、動的なインターフェースが求められる場合に強力な選択肢。
まとめ
Dear PyGuiは、Pythonでリアルタイムなインターフェースを構築する際に、非常に強力かつ直感的なGUIライブラリです。これまでに紹介してきたように、その特徴や利点は、他のPython GUIライブラリと一線を画しています。ここで、Dear PyGuiの主なメリットと、どのようなプロジェクトに適しているのかを振り返ってみましょう。
Dear PyGuiのメリット
- 高速な描画性能
DirectXやMetal、OpenGLといった低レベルグラフィックスAPIを利用することで、非常に高いパフォーマンスを実現します。特に、リアルタイムでデータを更新するアプリケーションや、グラフィックスが重視されるプロジェクトにおいて優れた描画性能を発揮します。 - シンプルで直感的なAPI
複雑なウィジェットやインターフェースを簡潔なコードで構築できるため、初心者でも扱いやすいのが特徴です。また、視覚的なデザインと機能をすばやく反映でき、試行錯誤を繰り返す開発プロセスにおいても強力です。 - クロスプラットフォーム対応
Dear PyGuiは、Windows、macOS、Linuxといった主要なデスクトップOSをサポートしているため、一度作成したアプリケーションを異なるプラットフォームで簡単に動作させることができます。 - 柔軟な統合性
NumPyやMatplotlib、Pandasなど、他のPythonライブラリと容易に統合できるため、データ処理やビジュアライゼーションを伴うアプリケーションの開発が非常にスムーズです。科学技術分野や金融分野など、データに基づいたリアルタイムの可視化を行うツール作りにも適しています。
Dear PyGuiに適したプロジェクト
Dear PyGuiは、特定のシナリオにおいて非常に強力です。以下のようなプロジェクトにおいて、Dear PyGuiは特に有効です。
- リアルタイムデータの可視化
データの変化をリアルタイムで表示するグラフやダッシュボードを作成する際、Dear PyGuiの高速な描画能力は大きな利点となります。金融のデータモニタリングや、センサーデータの可視化といったアプリケーションに適しています。 - インタラクティブなデスクトップアプリケーション
ユーザーと頻繁にやり取りするアプリケーション、例えばシミュレーションツールや、動的にデータを更新するエディタなどでは、Dear PyGuiのシンプルなイベントハンドリングとウィジェット追加の仕組みが役立ちます。 - ゲーム開発やグラフィックツールのUI
ゲーム開発やグラフィック編集ツールのように、高いグラフィックパフォーマンスを要求されるアプリケーションでは、Dear PyGuiのパフォーマンスが活かされます。フレームレートや動的なシーン描画などのUI操作もスムーズに行えます。
他のライブラリと比較した際の立ち位置
Dear PyGuiは、TkinterやPyQt、Kivyといった他のPython GUIライブラリに比べて、リアルタイムでの描画性能と直感的な操作性に特化しています。複雑な商用アプリケーションやモバイルアプリケーション向けの機能は他のライブラリが優れていますが、スピードとシンプルさ、そしてリアルタイムの処理に関しては、Dear PyGuiが最適な選択肢となります。
Dear PyGuiを利用することで、Pythonを使ってスムーズで高性能なGUIアプリケーションを開発することができます。今後、プロジェクトのニーズに合わせて、Dear PyGuiをどのように活用するかをぜひ検討してみてください。

ここまで読んでいただきありがとうございます!
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