はじめに
Pythonを使って日々の作業を自動化したり、アプリケーションを開発している方も多いですよね。そんな中で「もっと効率よく、自動で動かせたらいいのに」と思ったことはありませんか?
そこで登場するのが**Jenkins(ジェンキンス)**です!
Jenkinsはもともと、ソフトウェア開発でテストやビルドを自動で行うためのツール(いわゆるCI/CDツール)として人気ですが、実はPythonスクリプトの自動実行にもピッタリ。うまく使えば、テスト、データ処理、アプリのデプロイまで、面倒な作業をボタン一つ、あるいは時間指定だけで動かせるようになります。
この記事では、PythonとJenkinsを組み合わせてできることや、実際の連携方法について、初心者にも分かりやすく解説していきます。
小さな一歩から、自動化の世界へ踏み出してみましょう!

Pythonスクリプトをもっと便利に自動実行したい方へ!このガイドでは、Jenkinsを使ったPythonスクリプトの自動化手順を初心者向けにわかりやすく解説しています。開発効率を上げたい方はぜひチェックしてみてください!
JenkinsでPythonスクリプトを動かす基本
PythonとJenkinsを連携させるとき、まず押さえておきたいのが「Pythonの実行環境をきちんと整えること」です。Jenkinsは単体ではPythonを動かす機能を持っていないので、必要な準備をしておきましょう。
Pythonのインストールを確認する
Jenkinsサーバー(もしくはローカルPC)にPythonがインストールされていることが前提になります。ターミナルやコマンドプロンプトで、次のコマンドを打ってバージョンを確認してみましょう。
python --versionもしくは環境によっては、
python3 --versionと入力する場合もあります。もしインストールされていなければ、公式サイトからダウンロードしてセットアップしておきましょう。
シンプルなジョブを作成してみる
Jenkinsでは「ジョブ」と呼ばれる単位で処理を管理します。Pythonスクリプトを動かすには、まずフリースタイルプロジェクトを使ったジョブ作成が基本です。
フリースタイルプロジェクトの設定手順
- Jenkinsのトップページで「新規ジョブ作成」をクリック
- 「フリースタイルプロジェクト」を選択し、名前を付けて保存
- 「ビルド」セクションで「シェルの実行」や「バッチコマンドの実行」を追加
- そこでPythonスクリプトを実行するコマンドを入力します
例えば、次のような感じです。
python your_script.pyこれだけで、ジョブを実行したときにPythonスクリプトが動くようになります!
具体的な連携方法
Pythonスクリプトをただ実行するだけなら簡単ですが、もう少し踏み込んだ連携方法も知っておくと、Jenkinsをもっと便利に使いこなせます。
シェルコマンドでPythonスクリプトを実行する
もっともシンプルな方法は、Jenkinsのビルド手順で直接シェル(Linux/Mac)やバッチ(Windows)コマンドを書いて、Pythonスクリプトを呼び出すやり方です。
たとえば、Jenkinsのビルドステップにこう書けばOKです。
python path/to/your_script.py仮想環境を使っている場合は、仮想環境を有効にしてからスクリプトを実行する形になります。
source venv/bin/activate
python path/to/your_script.py(Windowsの場合は、venv\Scripts\activate で有効化します。)
Jenkins PipelineでPythonコードを組み込む
もっと柔軟なジョブ管理をしたいなら、**Pipeline(パイプライン)**を使う方法もあります。
Pipelineでは、Jenkinsfileという設定ファイルにビルドの流れをスクリプト形式で記述します。Pythonスクリプトを動かす部分はこんな感じです。
pipeline {
agent any
stages {
stage('Run Python Script') {
steps {
sh 'python path/to/your_script.py'
}
}
}
}これなら、複数ステージの処理やエラー時の対応も細かく制御できるので、プロジェクトが大きくなっても安心です。
仮想環境(venv、conda)を使った実行方法
実務では、Pythonパッケージのバージョン管理のために仮想環境を使うことがほとんどです。
- venv(標準ライブラリの仮想環境ツール)
- conda(Anaconda環境で使う仮想環境)
どちらを使う場合も、まずビルドステップで仮想環境を有効にしてからスクリプトを実行するのがコツです。
venvを使う場合
source venv/bin/activate
python your_script.pycondaを使う場合
conda activate your_env_name
python your_script.pyJenkins上でconda環境を使う場合は、事前に「conda init」などの設定が必要になる場合もあるので、動作確認はしっかりしておきましょう。
Pythonプロジェクトの自動化アイデア
Jenkinsを使ってPythonスクリプトを動かすだけでも便利ですが、せっかくなら「プロジェクト全体」を自動化して、もっと作業効率をアップさせましょう。ここでは、具体的な自動化アイデアをいくつか紹介します。
テストの自動実行(pytest)
Pythonで開発をしていると、単体テストや統合テストが欠かせません。Jenkinsと組み合わせれば、コードを更新するたびにテストを自動で走らせることができます。
たとえば、pytestを使った場合、ビルドステップで次のように記述します。
pytest tests/これで、tests/フォルダにあるすべてのテストコードが実行され、問題があればすぐに検出できます。
万が一テストが失敗した場合は、Jenkinsのジョブがエラーとして検知してくれるので、安心ですね。
コードフォーマットチェック(black、flake8)
コードの品質を保つために、コードフォーマットや静的解析を自動で行うのもおすすめです。
例えば、blackでコードを整形したり、flake8でコーディング規約違反をチェックしたりできます。
black your_project/
flake8 your_project/これらをジョブに組み込んでおけば、開発チーム全体でコードスタイルを統一でき、コードレビューの手間もぐっと減らせます。
ビルド・デプロイの自動化
Pythonで作ったアプリケーションを、特定のサーバーにデプロイしたい場合も、Jenkinsが大活躍します。
- 仮想マシンにSSH接続してファイルを転送
- Webサーバーを再起動
- Dockerイメージをビルドしてアップロード
といった作業も、Pythonスクリプトとシェルコマンドを組み合わせることで、すべて自動化することが可能です。
例えば、Dockerイメージのビルド&プッシュはこんな風に書けます。
docker build -t your-image-name .
docker push your-dockerhub-username/your-image-nameこれらをPipelineに組み込んでおけば、「コードを更新→テスト→ビルド→デプロイ」までを、完全に自動で回すことができます。
注意点・ハマりポイント
JenkinsとPythonを連携させるのはとても便利ですが、実際に運用を始めるといくつかつまずきやすいポイントがあります。ここでは、よくある注意点と対策を紹介します。
Pythonパスの問題
Jenkinsのジョブがうまく動かない原因でよくあるのが、「Pythonコマンドが見つからない」というエラーです。
これは、Jenkinsが使っている環境変数にPythonのパス(場所)が正しく設定されていない場合によく発生します。
対策
- Jenkinsの「グローバルツール設定」でPythonのパスを登録する
- ジョブ内でフルパスを指定して実行する(例:
/usr/bin/python3 your_script.py) - 仮想環境を使っている場合は、ジョブの最初に環境をアクティベートする
権限設定に注意(ファイル実行権限やパーミッション)
特にLinuxサーバーでJenkinsを動かしている場合、スクリプトファイルに実行権限がないとエラーになります。
また、Jenkinsの実行ユーザー(たとえばjenkinsユーザー)に必要なファイルやディレクトリへのアクセス権限がないと、ビルドに失敗することも。
対策
- 実行するスクリプトに適切なパーミッションを設定する(例:
chmod +x your_script.py) - Jenkinsユーザーに必要なファイル・ディレクトリへの読み書き権限を付与する
仮想環境の管理に気をつけよう
Pythonでは、プロジェクトごとにパッケージやバージョンが異なることが多いため、仮想環境(venvやconda)の使用が一般的です。
しかし、Jenkinsジョブで仮想環境を適切にアクティブにしないと、「モジュールが見つからない」などのエラーが発生しがちです。
対策
- 仮想環境のアクティベートを、ビルド手順に必ず組み込む
- Jenkins Pipelineを使って、ステージごとに仮想環境を有効化するスクリプトを記述する
仮想環境を使うことで、他のプロジェクトへの影響を避けられるので、手間がかかっても設定する価値は十分あります!
おすすめプラグイン紹介
JenkinsをPythonと連携させるとき、標準機能だけでもある程度は使えますが、プラグインを導入するとさらに便利になります。ここでは、特におすすめのプラグインを紹介します。
ShiningPanda Plugin
ShiningPandaは、Pythonプロジェクト向けに特化したJenkinsプラグインです。これを使うと、仮想環境の作成から、テスト実行、スクリプト実行まで、Python特有の操作をGUIで簡単に設定できるようになります。
主な機能
- 仮想環境(virtualenv)の自動構築
- pytestやnoseなどのテストフレームワークとの連携
- Pythonのバージョン切り替えが簡単
こんなときに便利
- Jenkinsジョブごとに違うPython環境を使いたい
- テストカバレッジを計測したい
- 複数バージョンのPythonでテストを回したい
設定画面もわかりやすいため、初心者にもおすすめのプラグインです。
Pipeline Plugin
JenkinsのPipeline Pluginは、Jenkinsfileを使ってジョブの流れを「コード」として管理できるようにするプラグインです。これによって、手動でGUI設定をする必要が減り、プロジェクトをコード化(インフラ・アズ・コード)できます。
主な機能
- マルチステージのジョブをスクリプトで管理
- 条件分岐や並列処理も可能
- Gitなどのバージョン管理と連携しやすい
こんなときに便利
- 複雑な自動化フローを作りたい
- 開発・テスト・デプロイをすべて一括で管理したい
- ジョブの設定をチームで共有したい
特に開発規模が大きくなってくると、Pipelineを使ったジョブ設計は必須になってきます。
まとめ
PythonとJenkinsを組み合わせることで、開発や運用のさまざまな作業を簡単に自動化できるようになります。
毎回手作業で行っていたテストやデプロイ作業が、ボタン一つ、あるいはコードの更新をトリガーに自動で動くのは、本当に感動的です。
この記事で紹介したように、基本的な使い方さえ押さえれば、
- シンプルなスクリプト実行
- 仮想環境を使った管理
- コード品質のチェック
- テストの自動化
- 本格的なデプロイフローの構築
まで、幅広く応用することができます。
また、ShiningPanda PluginやPipeline Pluginなどを上手に活用すれば、より柔軟でスケーラブルな自動化が実現できるでしょう。
まずは小さなスクリプトを動かすところからスタートして、徐々にJenkinsとPythonの自動化の世界を広げていきましょう!
最初は戸惑うかもしれませんが、一歩踏み出せば確実に「作業効率が劇的にアップする」未来が待っています。
あなたの開発環境が、もっと快適でスマートなものになりますように!

ここまで読んでいただきありがとうございます!
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